遺留分について

●「~に全ての遺産を相続させる」など、一部の相続人だけに相続させる内容の遺言が書かれている

●多額の生前贈与がなされたために、分ける遺産がほとんどない

このような場合、財産を得られなかった他の相続人は著しく不利な状況に置かれてしまいます。

そこで、民法は、このような場合においても遺留分の範囲に限り、最低限保証するよう規定しています。

遺留分減殺請求権の概略

相続人にとって最後の砦といえる遺留分減殺請求権ですが、相続財産の評価・特別受益の立証など、遺産分割事件と同様の問題にとどまらず、時間的制約の厳しさ・請求できる権利内容の複雑さも有しているため、遺留分減殺請求は、相続のうち特に難しい分野であるといえます。

当事務所では、これまで多くの遺留分減殺請求事件を取り扱ってきた経験と、最新の法令・裁判例による知識に基づき、このように難しい遺留分減殺請求において、高品質なリーガルサービスを提供いたします。

遺留分減殺請求における法的サービス内容

○遺留分減殺請求通知から、最終的な解決までサポートいたします。

○各種資料を収集・調査し、依頼者の方と十分な打ち合わせを行い、不動産等について適切な財産評価に基づく書面を提出し、調停・裁判において最善の解決を図ります。

○お仕事が忙しくて調停に出席できない場合には、弁護士のみが出席して調停を進めることも可能です。また、裁判においては原則として弁護士のみが出席いたします。



遺留分減殺請求における計算・手続について

1.遺留分減殺請求の方法


①遺留分減殺請求の意思表示

遺留分減殺請求ができる期間は,遺留分の侵害があったことを知った時から1年、または相続開始の時から10年とされています。

このように、遺留分減殺請求の期間は極めて短いため、まずは遺留分減殺請求の意思表示を行う必要があります。

なお、事後の証明のため、配達証明付内容証明郵便によることが適切といえます。


②相手方との協議

相手方と遺留分について協議を行うこととなります。

もっとも、相手方と直接協議を行いたくない場合には、協議を行わずに、③(調停)または④(訴訟)を申し立てる必要があります。


③調停の申立

相手方と協議が整わなかった場合、もしくは協議を行わなかった場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることとなります。

調停においては、調停委員を介して話し合うこととなるため、相手方と直接話したくない場合にも有益な手続となります。


④訴訟の提起

調停が成立しなかった場合には、遺留分減殺請求訴訟を提起する必要があります。

(なお、遺留分減殺請求訴訟を提起する場合、調停を事前に行うことが要求されていますが、調停を申し立てずに訴訟を提起した場合でも、そのまま審理が継続されるケースがありますので、いきなり訴訟を提起することも考えられます)

2.遺留分権利者と遺留分割合

相続分・遺留分の割合は以下の表のとおりとなります。

相続人 相続分 遺留分
配偶者
子2人
配偶者:1/2
子  :1/4
(一人あたり)
配偶者:1/4
子  :1/8
(一人あたり)
子2人のみ 子  :1/2
(一人あたり)
子  :1/4
(一人あたり)
配偶者
父・母
配偶者:2/3
父母 :1/6
(一人あたり)
配偶者:1/3
父母 :1/12
(一人あたり)
父・母のみ 父母 :1/2
(一人あたり)
父母 :1/6
(一人あたり)
配偶者
兄・弟
配偶者:3/4
兄・弟:1/8
(一人あたり)
配偶者:1/2
兄・弟:なし
(兄弟に遺留分はありません)

3.遺留分侵害額の算定方法

遺留分侵害額は,下記の手順で算定します。

ここでは,

「被相続人Xが死亡し,相続人は妻A,長男B,長女C。死亡時点のXの全財産は800万円。

Xが『私の遺産はすべて長男Bに相続させる』という内容の遺言を作成していた。」

という事例をもとに計算してみます。

①遺留分算定の基礎となる財産の算定

【被相続人が相続開始時に有していた財産+贈与財産の価額-相続債務の全額】

今回の事例では,生前贈与も相続債務もありませんので,800万円が遺留分算定の基礎となる財産です。

②遺留分額の算定

今回の事例は妻と子が法定相続人なので,上記表に基づいて遺留分の額を計算すると,

 妻Aは,800万円×1/4=200万円

 子Cは,800万円×1/8=100万円

がそれぞれ遺留分額となります。

③遺留分侵害額の算定

今回の事例では,A・Cは全く財産を得ることができないので,

Aは200万円,Cは100万円と、遺留分の全額が侵害されています。

したがって,Aは200万円,Cは100万円を,Bに対して請求することができます。

4.遺留分減殺請求における対象財産の選択・価額弁償

遺留分減殺請求の対象となる財産が複数ある場合には、どれかを選択したくなるかもしれません。

しかし、遺留分権利者は、遺留分減殺請求の対象となる財産を選択する権利がない、とされています。

そのため、「遺産総額のちょうど4分の1の価値がある土地があるので、その土地だけを渡せ」と、相手に対して請求したとしても、相手はこの請求に応じる義務を有しているわけではありません。

もっとも、相手方との合意が成立すれば、このような選択を行うこともできますので、遺留分減殺請求の意思表示後は、まず相手方との協議による合意の成立を目指すことが有益といえます。

その一方で、遺留分を請求された相手方については、金銭を支払うことにより、対象財産の返還を免れることができます(価額弁償:民法1041条1項)。

詳しくは、「遺留分減殺請求における価額弁償について」をご参照ください。

5.当事務所における遺留分減殺調停・裁判の弁護士費用

当事務所における遺留分減殺調停・裁判に関する弁護士費用は以下のとおりとなります。

着手金(税別) 報酬金(税別)
遺留分減殺請求調停 20万円~40万円 10%
遺留分減殺請求訴訟 20万円~40万円 10%
※相続財産に争いがある場合・特別受益、寄与分の主張がある場合でも、弁護士費用の増額は一切行いません
 また、着手金のお支払いが難しい場合には、分割払・事件終了時の支払も可能です。